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バスに乗っていて見たままをかきたいと思います。

駅前のバス停から始発の路線バスに乗りました。

乗客は少なくて、4、5人 でしたでしょうか。後方の座席はがらがらでした。一番出口に近い座席に小な女の子が座っていました。

ちょうどその子の窓の外に女の子のお母さんらしい女の人がいました。その子に向かってしきりに手を振っています。

そうして手を振りながらいろいろに注意を与えています。

----一番最後のところで降りるのよ。途中で降りたら駄目よ。

という言葉が聞こえました。きっとお母さんと離れて一人で終点までバスに乗って行くのでしょう。

バスの一番後ろの座席にお婆さんが一人だけ座っていました。

この親子の様子を見守ってひとりでにこにこしています。

やがて時間がきてバスが発車しました。バスは駅広場を出て曲がり角に差し掛かりました。

そのとき、お婆さんがにこにこして女の子に呼び掛けて言いました。

----お姉ちゃん、お母さんが手を振ってるよ。

どうも後ろのお婆さんの席からだと、後方の駅の様子が良く見えるようなのです。

しかし女の子には後ろのお婆さんの声が聞こえなかったらしく、振り向いたりしませんでした。

バスが動き始めると女の子は景色など眺めたりせず、バックからボーチを取出して、身繕いを始めました。

リップクリームをつけたり、手鏡で目もとを覗き込んだりしています。

夏休みの日焼けが健康そのものに見える小さな女の子ですが、身振りはさながら若いご婦人です。

バスは進み、バス停で停まる度に、人々が乗り降りしました。

ようやくバスは終点に到着しました。

ふいに女の子は窓越しに手を振りました。

その先には女の子のお母さんより幾分若い女性の姿がありました。

この女の子の到着を終点で待っていたのでしょう。この女性も同時に気がついて合図を返しました。

昇降口が開くと女の子は一番先にバスを飛び降り、女性の所へ行きました。笑顔で話しかけている女性の横腹に、抱きつく女の子の姿が見えました。

残りの乗客は次々とバスを降りて散って行きました。

他の乗客が降りてしまったあと一番後ろの座席からお婆さんがゆっくり降りて来ました。

お婆さんは慎重にバスから地面に降りるとゆっくり立ち去って行きました。

先きほど抱きあっていた二人はとっくにいなくなって姿は見えませんでした。
2015/09/26(土) 03:15 日記 記事URL COM(0)
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