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もう何十年も昔になります。

そのころ私は学生で、実家から1000キロ以上離れた町で暮らしていたものですから、

年に1、2度の帰省の時にはいろいろな土地を通って帰ったものでした。

海を渡ったり、

電車で長いトンネルを通り抜けたり、

海岸を眺めたり、

車窓から水田の作柄を比較してみたり、

夜の電車のなかで、おじさんたちがお酒を飲みながら

土地とちの言葉で談笑しているのをきいたり

乗り換えの待ち時間に寒さで足踏みしたり

夜、人がほとんどいなくなった電車の窓から

明かりが後ろに飛び去って行くのをぼんやりながめたり

なんだか大層な思い出はひとつもありません。

たぶんその当時のことで、N海岸のあたりで駅をおりた時のことだと思いますが

一つ思い出したので、つまらないことですがここに書いてみようと思います。

私はその日、N海岸の砂浜の堤防の辺りから海を見回していました。

当時私は、まだ海が珍しくてならなかったのです。

それで海岸沿いの町に足止めされるときは、きっと港や海辺の方に歩いていったものでした。

さてその海辺は海水浴のシーズンが過ぎたところで、

曇りの日のこともあり、人気はあまりありませんでした。

でも少しは砂浜を散歩をしたり、

水中眼鏡で海を覗き込んでいる子どたちなどいたように思います。

そこへ大きなスポーツバックを抱えて、学校のおそろいの体操着を着た女生徒の一団がやってきました。

全員で練習へ行った帰りに立ち寄ったのでしょうか。

確か6、7人いたように思います。

彼女らは砂浜に学校のカバンやスポーツバックをおろしまして、何かおしゃべりをはじめました。

しばらくすると中の二人が体操着の裾をまくりあげて、波とたわむれはじめました。

そのうち一人が足で海水を蹴飛ばしてもう一人にかけると、相手が仕返ししました。

そして水の掛け合いになり、ずいぶん濡れてしまったようでした。

二人は、周囲で大笑いしながら見ている友人たちにも次々に海水をかけました。

掛けられた方も、今以上に相手をびしょ濡れにしようとやっきとなり

とうとう海のなかに膝をつかせ

大騒ぎのなかで、ついには全員が平等に海の中に引きずりこまれて

体操着の上から水を掛け合っていました。

そのだんだんと大きくなる大層な嬌声が

遠くにいる私のところにも響いてきました。

やがて彼女らは次第に静かになり、

海から出て、スポーツバックからタオルをだして体を拭きはじめました。

拭きながらぶつぶつと何かいっていっているのが聞こえました。

私はもう行かなければと思って腰を上げ、お尻に付いた砂を払い落としました。

まだ待ち時間はあったのですが、早めに駅に行っておこうと思ったのです。

・・・・

こんな昔に見た些細な出来事を、今なぜ思い出したのかよくわかりません。

また思い出せてもすぐ忘れてしまっても、不思議はないのですが・・・

2016/11/12(土) 21:06 日記 記事URL COM(0)
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