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何事も春永に…
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りんごの記憶
小さいころの事。
夜、たまに母親がりんごを剥いてくれたことを思い出します。
りんごを四つに切ってから、皮を剥いて、青いボールのなかに落とし、
大きい場合はさらに切り分けて、それを私に渡してくれました。
母も時々自分で切ったりんごを食べていました。
私は器用に果物ナイフをつかう母の手を飽きずに見ていました。
時々、母は別の皿に切ったりんごをいれると、私にこれを父のところへ持っていくように言いました。
そこで私は父の部屋に行き、ふすまを開けて、りんごをもって来たといいました。
たいてい夜は父は卓で本を読んでいましたが、お皿をおいていくように言いました。
別の時に、やはり私は母に命じられて、りんごの入ったお皿をもって父の部屋に行きました。
このとき父が言ったのは、いらないから持ち帰るようにとのことでした。
それから後、母がりんごを剥いて、私が父の部屋にりんごのお皿を持って行き、そのまま持ち帰ることが幾度か繰り返されました。
あるとき母から父の部屋に行ってりんごがいるかどうか聞くように言われました。
そのころになると私は父はりんごを食べはしないのだと分かっていましたが、命じられた通り父の部屋を開けて尋ねました。
やはり父はいらないといいました。
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おそらく父は夜に間食する習慣を好まなかったのでしょう。
母は薄々それを知りながら、私に持って行くことを命じていたのかもしれません。
2019/12/11(水)
00:08
日記
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